研究内容・実績

『慢性骨髄増殖性腫瘍研究チーム』〜脇田知志〜

主な研究の要約

慢性骨髄増殖性腫瘍はゆっくりと経過する血液の悪性腫瘍であり、真性多血症、本態性血小板血症、原発性骨髄線維症などが含まれます。各疾患により、病状は大きく異なり、真性多血症、本態性血小板血症は、長期の経過をとりますが、経過中に血栓症や出血性疾患を合併することがあります。一方、原発性骨髄線維症では、発症直後には無症状ですが、徐々に脾臓や肝臓が腫れ、腹部膨満感、体重減少、全身倦怠感、さらに貧血の症状が出現してきます。これらの病気に対する一次治療は、血栓症・出血の予防、全身症状の軽減が基本となり、慢性的な病状経過では根治的な治療は行われません。しかしながら、一部の患者さんでは病状が進行するに従い、重度の骨髄不全症や急性白血病に病態が移行することがあります。
慢性骨髄増殖性腫瘍では次世代シーケンサーを用いた遺伝子変異解析からJAK2、CALR、MPLなどの原因遺伝子が同定され、診断における有用性が示されてきています。さらに、これらの遺伝子変異が臨床像に強く影響することも報告されてきており、遺伝子変異を用いた予後予測モデルの構築が期待されています。我々の慢性骨髄増殖性腫瘍(MPN)研究チームでは、一般内科の外来でも鑑別に上がることの多い本疾患の診断をサポートすることを目指し、臨床的遺伝子変異診断の補助を行い、医療機器メーカーと共同して簡易型遺伝子診断システムの開発などを行ってきました。また、全国の病院施設と協力し、正確な血栓症や骨髄線維症/白血病化への進展のリスクを予測するための遺伝子変異解析を利用した予後予測モデルの開発、病状増悪時に検討される治療には分子標的薬ルキソルチニブや根治的療法である同種造血幹細胞移植の有用性を見極めるための治療反応性予測モデルの開発にも着手しています(Leuk Res. 2016;40:68-76)。

施可能なMPN関連遺伝子変異

JAK2V617F
JAK2 exon12 deletion
MPLW515L/K
CALR遺伝子変異
ASXL1
CSF3R

MPNの遺伝子変異解析の依頼は随時受け付けています。脇田知志(aaa11140@nms.ac.jp)までご連絡いただければ幸いです。

主な業績

1. Okabe M, Yamaguchi H, Usuki K, et al. Clinical features of Japanese polycythemia vera and essential thrombocythemia patients harboring CALR, JAK2V617F, JAK2Ex12del, and MPLW515L/K mutations. Leuk Res. 2016;40:68-76.
2. Yamaguchi H, Takezako N, Ohashi K, et al. Treatment-free remission after first-line dasatinib treatment in patients with chronic myeloid leukemia in the chronic phase: the D-NewS Study of the Kanto CML Study Group. Int J Hematol. 2020;111(3):401-408.